Interview Violin 遠井 彩花

   現役の音楽大学生や一般大学生、そして高校生、大学を卒業した社会人まで幅広い人が所属するVariOrchestra。異なる環境で学んできた団員たちは、それぞれどんなことを考えながらVariOrchestraで演奏をしているのだろうか。そんな音楽に関する“おしゃべり”に近いような形でお届けしていく企画です。

  第4弾は、初回演奏会から乗ってくださり、9月24日に行われた特別公演にてコンサートミストレスを務めた遠井彩花さん。遠井さんには、VariOrchestraに参加してきて思うこと、そして先日の公演を終えての感想を伺いました。

Violin / Concertmistress 遠井 彩花

──早速ですが、遠井さんは初回公演から参加してくださっていて、今回3回目の本番となりましたが、このオーケストラはどんな印象ですか?

「代表の佐藤さんが自ら演奏会を開き、コンサートマスターや指揮もされているということにまず魅力を感じましたし、同時に驚きました。また、色々な所で活躍されている音大生や音大卒業生をはじめ、アマチュアで演奏されている方もいて、それぞれの場所で学び、培った知識や演奏を共有する場になっていて、私自身の考えの幅を広げることができ、勉強になっています!」

──私も彼の行動力には、いつも驚かされています。様々なバックグラウンドを持つ奏者がいるという点を魅力に思ってくださっているのは、とても嬉しいです。練習の際に、今回演奏する交響曲第1番に思い入れがあると言っていましたね。

「実は私が初めてコンサートミストレスで交響曲を演奏したのがこの曲でした。まだまだ勉強量は足りないと思っていますが、当時いろいろな音源を聴いたり、先生に弾き方や考え方を教えていただいたりと、私なりにコンサートミストレスとしてこの作品の勉強をしました」

──やっぱり初めての曲には思い入れが深くなりますよね。今回はいわゆる「ブラームス」とは異なるところが多かったのではないでしょうか?

「初めてコンミスを務めたときの基盤があったので、初合わせをした際の印象はかなりテンポが速いと感じました。指揮者にはこの作品にも、前半のベートーヴェン交響曲第2番にもピリオド奏法を使いたいという意向があったので、音質はブラームスのイメージに寄せながらテンポは少し前向きという作り方を心がけました」

──テンポ感の共有がネックになっていたような気がします。でも1stヴァイオリンは初回からすぐに適応していてさすがと思っていました。ピリオド奏法は、普段のレッスンでも勉強しますか?

「私は古楽専門というわけではないので、授業で習ったことはほぼないです。学校で学んでいることといえば、たとえば指揮者が『今回の演奏会では、ピリオド奏法を用いて演奏しましょう』などと言わずとも、動きから何をしたいのかを掴み、表現することが中心です(文字で言い表すのが難しいので、伝わるか不安ですが…)。用語を理解しているかということよりも、心や表現、曲の時代背景、オーケストラであれば団体で弾くときの合わせ方など、内面的なことや実際に弾いて学ぶことが多いです」

──私は授業でバッハの作品を演奏する時には、モダン楽器でもピリオド奏法を用いてのレッスンをしていただくことが多いので、ほぼやらないというのは意外でした!先生のご専門や、考え方によっても異なるのかもしれませんね。では今回、ピリオド的なアプローチの技術はどのようにやったのですか?

「ベートーヴェンとブラームスの最初は前へ進んでいるイメージがあったので、全体的な音楽の流れに使われていたのかなと思います。でも実際に指揮者がやりたいように実現できたところは少なかったと思います。本格的なピリオド奏法を用いるには、やはり古楽器を使ったり、古楽の奏法に特化した知識と技量が必要だなと改めて感じました」

──古楽の奏法をモダン楽器で表現するというのは、ある意味ピリオド楽器でピリオド奏法をすることよりも難しいのかも。今さらですが、ブラームスの2楽章のソロ、うっとりしすぎて入り損ねてしまいそうなほどに素敵でした!またぜひご一緒させてください。

取材・文:神谷 咲妃

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