室内楽プロジェクト第4弾 〜シューマン室内楽の年〜


 VariOrhestaで出会った奏者が集い、より親密な空間で演奏をお届けする室内楽プロジェクトの第4弾。今回は、7月に予定していたものの開催が叶わなかった弦楽四重奏とピアノ五重奏奏の演奏会です。

 ヴァイオリンは代表の佐藤瑛吾と、2ndヴァイオリン首席奏者を務める植南莉菜(桐朋学園大学修士2年)、ヴィオラは初回公演から支える緒方裕(東京大学博士課程)、そしてチェロには2022年の演奏会でソリストを務めた大森朔光(東京藝術大学4年)と、指揮なしの定期演奏会でアンサンブルを支えてきたメンバー。実際に4人が揃った演奏会は片手で数えるほどですが、より親密な弦楽四重奏では、指揮なしの公演でリードしてきた彼らのアンサンブル力を存分に味わえるはず。

 プログラムは、颯爽としたハイドンの弦楽四重奏曲第17番で幕開け。第2楽章「セレナーデ」は独立して演奏される機会も多く、2ndヴァイオリン以下のピッツィカートによる伴奏で1stヴァイオリンが歌うメロディーは耳にしたことがある方が多いと思います。
 続く作品は、シューマンの弦楽四重奏曲第2番とピアノ五重奏曲(ピアノ:永井晶人・東京藝術大学卒業)。陰鬱でネガティヴな性格のイメージが強いシューマンですが、わずか1ヶ月ほどの間に書き上げた3曲の弦楽四重奏曲を出版社に持ち込んだ際には「以前の時期の作品の中で最良のものとみなしている」と自信のほどを言ったそう。曲調も抒情的で朗らかな印象。ピアノ五重奏曲も、妻クララとの幸せな生活が反映された華やかで力強い作品。“シューマンは重くて苦手”と思っている方にこそ聴いていただきたい楽曲です。

 人の温もりを感じたくなるこの季節にぜひ。